大型化が進むオーディオ機器の中にあって、EARの製品は比較的コンパクトなサイズを維持し、スペースファクターが需要となるプリメインアンプ分野ではそれが強みを発揮することになります。

EAR 899は人気のあったパワーアンプEAR 890のプリメインバージョンであり、890で採用されたパワフルな出力菅KT90が同じように8本使用され、70W（4Ω）の大出力を実現しています。
フロントパネルこそラックマウントスタイルになったため横幅は485mmと、890より80mm大きくなっているものの、高さ165mmと奥行405mmのサイズはオーディオラックに十分に収めることが可能です。

筐体に出力菅が林立する無骨なデザインが多い真空管アンプの中にあって、EAR 899は左右対象に配置された出力菅はむき出しにならず、保護カバーでスマートに覆われています。
クロームメッキフロントパネルの印象が強いEARアンプですが、899ではアルミヘアラインフィニッシュが採用されて、すっきりとした外観に仕上がっています。

しかしながらサウンドは外観に反して、コクがありミッドレンジに一本筋が通った温度感の高さが特長となっています。
また注意深いリスナーであれば、豊かな中域の中にも英国製らしい気品が感じ取れるはずです。