EMT TMD25は、EMTが全盛期であった時代に販売されていた、丸目レンズのモノラルカートリッジです。
角目であったOFD-25と比較しても、サウンドの違いは明白であり、イメージとしては、剛のOFD-25、柔のTMD-25といった感じです。

OFDで構築されたサウンドも心地よさはありますが、弦楽器の再生という点では、太刀打ちできないものがあります。
出力電圧は0.15mV、再生周波数帯域では20Hz～20kHzとなっており、一定の基本スペックは兼ね備えている印象です。
針圧は2～3g、自重でいうと17.6gで、十分に針先でピックアップできる設計となっています。

カンチレバーであり、軽やかに動くダンパーにより、モノラルの弦による魅力的なサウンドに昇華させることが可能です。
自然なサウンドと雰囲気を両立し、さらに情報量を最大限に引き出す作り込み精度の高さは評価できます。

デザイン面は至ってシンプルですが、飽きのこないデザインともいえるでしょう。
残念ながら、現在では生産していませんが、変化に合わせてメンテナンスを行うことで、長い期間の使用ができるため、今でも大事に使い続けているユーザーもいることで知られています。