1979年にダン・ダゴスティーノ氏により設立されたKRELL(クレル)は、独自の性質を持つ音で瞬く間に人気を博したオーディオメーカーです。
そして、第1号機であるパワーアンプKSA-100を基本としたさまざまなモデルが開発されており、1981年に発売されたパワーアンプKSA-50もその1つです。

この時代のKRELLのアンプは、パラレル接続によって大出力の純A級動作を実現していました。
その中で、KSA-50は前身モデルにあった音の曇りを改善させ、高い音質を実現させたのです。

またKSA-50を含むKRELLの初期アンプは、創業者であるダニエル・ダゴスティーノ氏とロンディー夫人の手作業で作られています。
そのハンドメイドの丁寧さや温かみは、繊細で質のよい音だけではなく、シンプルなデザインのフロントパネルに光るエンブレムプレートのクラフト感ある作りにも表れています。

ちなみに、フロントパネルにはエンブレムプレートの他には電源スイッチしかなく、前方のデザイン性にこだわりが見えます。
その音質はクリアで高域がよく伸び、空間への響きが爽やかです。
また、低域も力強いドライブで鳴らし、十分な厚みや芯を持って前面に押し出されてくるのです。
空間を優しく包むアナログサウンドは、この時代のKRELLアンプでしか味わえないものでしょう。