SONYが1978年に立ち上げたハイエンドブランドであるESPRIT。
細やかな手作業にて製造された機器の数々は、現在でも名機として語り継がれています。
その中の1つであるステレオプリアンプESPRIT TA-E900は、1981年に発売となりました。

当時としては非常に高度な技術によって、徹底してピュアな信号伝送を行う仕組みにこだわっていたESPRIT TA-E900のヘッドアンプ部は、ベース接地によるプッシュプル構成です。
これにより、直流バイアス電流のみの供給を可能にし、信号への干渉を防ぐのです。
また、イコライザーアンプ部の初段はデュアルFET、そして2段目はPNPトランジスターを搭載。
初段では安定したS/N比の実現、また2段目は歪みの軽減などを実現し、いずれもクリアな音質をもたらします。

その他、アッテネーターなどに使用される金属皮膜は、熱によるノイズを抑えることができます。
さらに、プリント基板や配線材に高純度の銅を使用したほか、信号伝送が最短になるよう工夫されているのです。

筐体はシックな黒で、フロントパネルには動作の切り替えスイッチがつまみ状で配置されています。
このハードなイメージにたがわず、音質も芯が強く厚みがある印象です。
それだけではなく、解像度が高いうえに低域が良く伸び、力強いドライブ力を発揮します。