幅広い電気機器を取り扱うだけではなくオーディオ業界で最先端を走り続けるSONYが威信をかけたともいわれるESPRITシリーズは、1980年代に販売スタートしました。
すべて手作業で組み上げられているESPRITシリーズの中で、1983年に発売されたESPRIT TA-N902はモノラルとステレオの2通りの使い方ができるパワーアンプです。

パワーステージの回路には、自社独自開発の歪みを軽減する機構を採用しており、電圧に対する大電流を実現しながら、ほぼすべての領域で純A動作を行う工夫がなされています。
また左右のチャンネルにそれぞれ搭載された大型電源トランスと電解コンデンサーは、安定した電源供給と高周波インピーダンスの低減を可能にしているのです。
さらに、ヒートシンクを外側に設置し電源回路に余裕を持たせているほか、トランスとシャーシ、コンデンサーに制振材を組み込み、干渉を排除しました。

シンプルで落ち着きのある黒の筐体は高級感を漂わせ、フロントパネルにはピークパワーインジケーターが搭載されています。
もしオーバーロードを起こしインジケーターがフルになった場合には、プロテクションが自動的に動作するため、安心です。

ESPRIT TA-N902の音は鮮やかでありながら素直な印象で、無駄な色がなくクリアです。
しっかり磨き上げられたその音は、さわやかな風のように吹き抜けていきます。