静電気の技術的長所を、オーディオ機器へ応用していることで知られるSTAXが、1980年に発売した、国産A級モノラルパワーアンプがSTAX DA-100Mです。
このモデルには、出力が電源ノイズの影響を受けないように、全段アースを基準とした対アース増幅が搭載されているため、S/N比は155dBに抑えられ、クリアな音質を実現しているのが特徴です。

また、左右のアンプを高周波領域のみ結合させ、動作を安定化させる専用アースケーブルを付けたほか、音質を妨害する要素を排除するため、ノイズを軽減するファーストリカバリーダイオードや電子パーツとシャーシの全てを、非磁性体構造にしています。
さらに、音質劣化をきたすリレー接点が信号経路に侵入しないよう、3重の保護回路を採用し、ナチュラルな音色を再現しているところも注目です。

ややほの暗い音色は、陰影に富み、ウェットな響きで部屋全体を抱擁し、派手になりすぎないサウンドが魅力的であり、きめ細やかで透明感の高い繊細な音は、幻想的な音楽を一層美しく演出してくれるでしょう。
ただ、出力回路形式がA級のため、どうしても熱が出てしまい、保管する場所を検討する必要がありますが、音質重視の人には、断然おすすめの良機種です。