名機として有名なFR-7をブラッシュアップして誕生したFidelity-Research FR-7fは、シェル一体型MCカートリッジとして1980年に誕生しました。

FR-7と同様に、磁気回路を2マグネット4極構成としている、独特なプッシュプル発電方式となっています。
これによって、4ヶ所で発電を行うことができるので、低インピーダンスコイルであるにも関わらず大きな出力電圧を確保できます。
また、一般方式では発電回路に打消し電流が発生する傾向がありますが、打消し電流発生領域でも逆に正方向の出力とすることで、位相特性やクロストーク特性を改善し、電気変換効率が大幅にアップし、出力電力さえも高めています。

発電コイルは、巻枠を持たない完全空芯コイルとユニークで、
不要磁性体が発電磁場内を動くことなく、再生信号の歪を根本的に取り除き、さらには、振動子実効質量も約2/3に軽減し、高域のインピーダンスを小さくしています。

磁気回路素材としては、サマリウムコバルト系マグネットを使用。
アルニコ系の素材と比較して保磁力が高く、自己消磁しにくいので、長期におよび安定したパフォーマンスを発揮します。

針先としては、無垢の0.15mm角ソリッドダイヤモンドを用い、更に特殊研磨したオリジナルのリファインド・コンタクト針を採用。
リファインド・コンタクト針では、従来針の長所のいいとこ取りをしていて、ディスクの反りや音溝の埃によるノイズを排除しています。

このように一つ一つ丹念に作られ、風格を漂わせるFR-7f。
そこには人間の血が通った熟練の技と執念が見られ、並のカートリッジとはひと味もふた味も違う、個性豊かなカートリッジとなっています。